船と尻尾とぬりえ

私は(今はもう通っていない)学校の行事で
合宿のようなものに参加していた。
その施設は船のような構造で(実際に大きな船だったのかもしれない)、
壁は白っぽく廊下には安手の赤い絨毯か敷いてあり、全体的に古びた感じを漂わせていた。


部屋につくと知らない先輩二人組*1がやって来て
「あなたには尻尾が生えているの?」かと問うてきた。
私はしまったと思い、ジャージの上から腰の辺りを探りながら動揺していた。
体から血の気が引いて冷たくなり、心臓の動悸は極端に早まり
天地がひっくり返るほどの動揺とはああいうことなのだと思う。
ともあれ、確かに私の腰には尾が生えていた。
保険委員が集めていった書類の中の保険証にも記載されている。
あの二人の先輩はそれを見たのだろう。
私は尻尾が生えていることを隠している訳ではなかったが、ことさらに触れ回ったりもしなかった。
相手によってはそのことを伝えていたがそれは誰でも良いわけでは無かった。
中にはその事をとやかく言うような人間も居たからだ。

*1:今思うと中学の部活の先輩達にどことなく似ていた